SUMMER COLLECTION “拾玖丿零伍”

モアレのマント

黒と白の表裏のメッシュが 互いに透けて干渉し、波のような斑紋を見せるマント。
古式ゆかしい「透かしの美学」を 現在進行形へと引き戻すため、今回 当店が用意したスパイスは、モアレです。 そのモアレを 全面に起こさせるべく、総裏仕立てのマントにしました。
柔らかいメッシュ素材も、２枚重ねになることでコシが生まれ、肩から裾に流れるシルエットも美しく仕上がっているのです。 何より、美しいドレープと、その動きで変幻するモアレに彩られた後ろ姿は、ダイナミック そのもの。
さらに、発色の良い小袖の上に纏おうものなら、モアレの下にも色が滲み、肩から裾にかけての稜線に、何重もの階調を見せてくれます。 幾重もの波状的な「透かしの美学」が顕現されたマントなのです。
当店のマントは、クラシカルなデザインも部分的に踏襲しています。 中でも、古めかしく 最も複雑な箇所が、手を出すためのホール。 この部分の加工を省略したデザインのマントが 巷には増えましたが、すべての【和次元・滴や】製マントに、このホールは付いています。
このモアレ・メッシュのマントも例外ではありません。 当然、表裏の全面に透かし目が開いていて、伸縮性に富むメッシュ素材の仕立ては非常に困難ですが、手間を惜しまない律儀さを持って、初めて遊び心も際立つのです。
黒と白のみのシンプルな色使いながら、変幻するモアレとシルエットにより、キレのある遊び心を見せつけてくれます。 よって、フォーマルからカジュアルまで様々なシーンで、自在に纏えるマントに仕上がっているのです。