「 サムライ オートクチュール/手描きの世界!」

いつも『FOUR SEASONS』の【和次元・滴や】コレクションを ご覧いただき 誠にありがとうございます。

まず、『FOUR SEASONS』コレクションは、今回にて “サムライ オートクチュール”と謳う 受注製作システムへと、完全移行いたしました。 今後は、コレクション発表直後から約2週間を、リピーター限定受注期間といたします。その終了後から、一般受注期間が 開始します。 受注製作システムの詳細は「サムライ オートクチュール」ページをご参照ください。

第一弾である『FOUR SEASONS ~サムライ オートクチュール~』春コレクションは、【 浮世しのぎ 】特集で、こだわりの加工技術や、希少価値の高い素材を用いて仕立てられたレーベルです。 今回は、「手描き」捺染を施したアイテムを中心に揃えました。ここでは、手描き捺染について、少々ご説明します。

「手描き」捺染とは、一般的な染め加工のように 染料に浸けて浴染するのではなく、顔料(もしくは 媒染により発色状態にした染料)を直接布面に塗り、摺り、押捺して染める技法で、それを文字通り 手描きにて行う加工方法です。 一般的なプリント加工であるシルクスクリーンやインクジェットに比べ、手描き捺染の可能性は 無限とも言えます。 当然ながら、シルクスクリーンには スクリーンの大きさ、インクジェットには 機械の受容できる大きさという制限がありますが、手描き捺染には、そういう規制はありません。 以下のFSPC22-01で紹介するマントのように、広大な生地幅にスケールの大きい風景のような図柄を描くことも可能なのです。 また、シルクスクリーンやインクジェットは 機械装置を通すので、縫い目を跨がる模様や、たたまれたプリーツ上に渡る柄など、凹凸や段差の上に表現することは、不可能です。 一方、手描き捺染はマテリアルの形態を問わないので、FSPC22-02の袴を見れば、その卓越性は明らかでしょう。箇所を問わず ピンポイントで色を差すことも可能です。 加えて、色数が無限であることも、手描き捺染の特長と言えます。シルクスクリーンは 各スクリーンの特定の色、インクジェットも指定の色しか表現できません。 それに対し、手描き捺染は 絵画の如く、重ねて描くことができるのです。つまり、色セロファンを重ねるように 無限の色数を表現できるのです。 これだけでも、シルクスクリーンやインクジェットを遥かに凌駕した無制限の表現技法であることが、ご理解いただけることでしょう。

しかし、手作業ゆえに複製が困難で、量産化できないという 当たり前の弱点があります。要するに1点物の作品向きの加工法であって、製品的な技法とは言えないのです。 ところが、今回は 長年スキルを培ってきた職人さんの熟練の技で、その課題を克服できたことにより、今回のラインナップが成立しました。つまり、手描きにも関わらず、量産と変わらないレベルの模写が施されているのです。 具体的には、筆で描き、刷毛で叩き込み、特別な型で色をのせる等の方法で 絵柄が描かれ、その際 アクリル樹脂の特殊な溶剤を混ぜた顔料を使うことにより、描くと同時に布への定着がされます。(一般的な染め加工では、染色工程の後に それを定着させる工程があります。) 長年のスキルの積み重ねにより、染色堅牢度も高いのです。もちろん、手作業なので 柄に若干の個体差はありますが、それもテキスタイルの味わいとなっています。(染色堅牢度は確かですが、顔料染め全般、やや湿摩擦には弱い傾向があります。ドライクリーニングは不可。)

これら種々の技術のより、ぼかし・勢いのある表情の変化・筆のタッチなど、機械装置を使ったプリントには決して出せないライブ感があり、手描き捺染に特有の奥行きのある柄が生まれるのです。

今回の春コレクションには、この手描き捺染の技を多彩に活用し、これまでにも増して 個性的な雰囲気を醸し出し、深みがあり、しかも多様なアイテムを取り揃えました。ディテール画像の細部までご覧いただければ、嬉しい限りです。

それでは、春の「サムライ オートクチュール」を お楽しみください。

和次元 滴や    装造師 宗裕