いつも『FOUR SEASONS ~滴や 装い拓き~』の【和次元・滴や】コレクションを ご覧いただき 誠にありがとうございます。

今回の春コレクションには、特殊な装飾技術の数々で、趣向を凝らしたアイテムで編成しました。どのアイテムにも、縫製以外に、装飾のために細工のひと手間を加えています。 それらの技法は、繊細な刺繍や印象的なレース使い、あるいは 挑戦的な染めや精密な織りの技術など、製品を形作る縫製の技術以外の、装飾のためだけの技を盛り込み、特別なアイテムとしてラインナップしました。 当店が培ってきた「技のコレクション」となっております。

【和次元・滴や】は、当店の活動を “伝統でも ファッションでもない” と周囲に説明してまいりました。サムライは、明治維新で滅びました。よって、巷の伝統とは サムライのそれではありません。 また、ファッションと捉えるには サムライは重過ぎます。つまり、サムライの観点で見れば、伝統は “思い込み” であり、ファッションは “にわか” なのです。

【和次元・滴や】は、「次世代型サムライスタイル」を標榜してきました。サムライは、卑怯を忌み嫌いました。 サムライの二本差しが、処断の太刀と 責任の脇差との 一対であったことからも分かるように、彼らは 行動とともに、責めを負うことが求められたのです。 責務を全うすることが、サムライの本質であり、孤高の生き方自体が、サムライなのです。

当店の製品は、すべてオリジナルアイテムです。特許取得しているアイテムも多く、製品・デザインが独自ならば、製造工程・職人も独自でなければなりません。何より、独自の体制であることで、ユーザーに対して、製品に対して、製造に関わる職人に対しても、全責任を取れるのです。 そして、16年の歳月を掛けた結果、現在では 縫製・装飾加工のすべてで、独自の体制を構築できました。サムライで在ろうと志すなら、責任転嫁、或いは その余地のある体制は、許されざる姿勢ですから。

一方 世界に目を向ければ、コロナ禍によってもたらされたアパレル・ファッション産業の危機的な惨状を、嘆く方々が見受けられます。しかし、当然の報いだろう…遅過ぎたくらいだろう…と、感じるのです。 現在、ウイグル人に対する人権弾圧をめぐり、世界中で中国共産党への非難が大きく叫ばれています。果たして、ただ漫然と中国共産党を非難する資格が、我々には在るのでしょうか? ウイグル地区では、ウイグル人の奴隷労働により “新疆綿” が生産されています。大手ファストファッションブランドは、この “新疆綿” を取り扱っています。ファストファッションだけではありません。 中国で生産される綿花のうち、実に90~95%は “新疆綿” で、実際には 中国で生産される衣服の大半に “新疆綿” が使われていると 言われています。そして、日本は 衣料品の約7割を中国生産に依存しています。 つまり、多くのアパレル企業で “新疆綿” を使った製品が作られ、ほとんどの日本人が それらを身に纏っているのです。 こういった現状は、綿という素材だけに限定されたことではないでしょう。恐らくは、他の素材の製造工程でも、素材から製品への縫製工程においても、他の様々な国や地域で 行われているに違いないのです。 要するに、我々日本人は 虐げられた人々の生き血を吸った衣服を身に纏い、自分たちが 華やかで快適な文化を安上がりに謳歌するため、スポンサーとして人権弾圧に加担してきたのです。 はっきりと申し上げるなら、我々こそが 中国共産党そのものなのです。現状況下において、中国共産党だけを被害者意識で非難する姿勢は、実行犯よりタチの悪い黒幕であると 心得なければいけません。

加害者に連なる我々が、最初にすべきことは “罪から足を洗うこと”、それ以外にありません。“罪滅ぼし” とは、罪人探しではなく、その文字の通り、罪そのものを滅することでしょう。 具体的には、製造者は 生き血を吸った衣服を作らぬように、消費者は それを身に纏わないように、いつも目を光らせなければなりません。

【和次元・滴や】としても、「次世代型サムライスタイル」を標榜している以上、このような卑劣で不義に満ちたアパレル産業の形態とは距離を置かなければなりません。 当店では、製造の過程で、関わる方々に不公平が降りかかることの無いように、全工程において “顔の見える” 製造工程を構築するため、毎年 試行錯誤を重ねてまいりました。 昨年は、ついに 縫製・装飾加工の全工程を、当店の理解者・育成した職人さんだけで賄える独自の製造工程が完成したのです。新人の育成にも力を入れています。 大手のブランドではないので、素材(つまり生地や糸)の完全な管理にまでは 未だ至っておりませんが、これまで通りに 誠実で 出所のはっきりしたファブリックメーカーの素材から厳選しつつ、今後は素材面でも完全に独自の工程を構築できるように取り組んでまいる所存です。

ユーザー・素材・製造工程・関わる人々・生み出される製品に至るまで、全ての面で 無理なく調和している事こそ、サムライの志しに貫かれた「次世代型サムライスタイル」ではないかと考えております。

ちなみに、今回のコレクションに並ぶ 本革の袴(FSPC21-03)は、毛の付いた生の表皮を なめして革にする段階から タンナーへ出向いて、全工程で【滴や】らしさを追求した力作です。縫製の後、ヒダ奥だけを染め分けた後染め工程も、同じタンナーで仕上げられています。 また、コレクション内の3つのアイテムに施された刺繍も、今回から導入された精巧な技術を駆使したモノです。細部を写したディティール画像にも、注視いただければ幸いです。 その他 すべてのアイテムに、高機能な織りや 印象的な染めといった最新技術に加えて、装飾加工・縫製上の細工などの精緻な手仕事の数々が、【滴や】らしく効果的に凝らされています。

この春コレクションで、潔さと精巧さが増した《Hakama-Shiki/袴式和服》を実体験していただければ嬉しい限りです。

和次元 滴や    装造師 宗裕