Opus.2

「和次元 滴や」を代表するアイテムは袴だろうが、上半身とのコーディネートが着こなしの重要なポイントであること言うまでもない。世間では長着（いわゆる着物）に袴を合わせるのが一般的な様だが、当然ながら袴には袴専用の着物がある。そうでなければ動きにくいので、袴を穿いている効果が薄い。滴やでは、開店当初よりスリットを入れるなどの細工をした膝丈ほどの袴下用の「和次元きもの」を製作してきたが、平成２５年に理想の袴姿を追求して、まったく新しい袴式和服として発表したのが「したたり小袖」である。

「したたり小袖」は現代人の体型に合わせて設計され、着る人に便利な工夫と機能性を重視した着物で、すっきりと見せながらも優雅な着姿を演出してくれる。基本の袴スタイルの他に、小袖だけでも様々な着こなしを楽しめると好評だ。この「したたり小袖」も今では、滴やオリジナルのアイテムとして定着してきている。

さて、素材にシャリ感があり、さらりとして肌にまとわり付かない「したたり小袖」を用いた１つ目のコーディネート。よろけて不規則なヘリンボンが染められており、うっすらと見える光沢も上品だ。袴の方も シャリ感たっぷりで、穿いた時にもヒダが崩れずシルエットが美しい。何より、上下ともに透け具合が絶妙で、まさに涼風を感じさせるコーディネートが完成した。

小袖のヘリンボンを便箋の罫線に、袴の鮮やかなブルーを万年筆のインクに見立て、避暑地から届いた便りのように旅心をくすぐられる清涼なコーディネートに仕上がった。

【したたり小袖】

Material	：	ポリエステル75％、麻25％
Size	：	Lサイズ、2Lサイズ
Price	：	34,000円＋税

【袴】

Material	：	ポリエステル85％、麻15％
Size	：	Mサイズ、Lサイズ、2Lサイズ
Price	：	38,000円＋税

涼風コーディネートの２つ目。「したたり小袖」の生地は、茶色の透かしの効いた薄地の上に、幾何学模様やペイズリー柄の織紋様の横段を走らせたもの。印象的な素材が、シルクロードの風情にまで妄想を膨らませてくれた。白い袴は、麻とサマーウールの組合わせで織られている。麻による素朴な風合いを活かしつつ、サマーウールがしなやかに、扱いやすくしてくれている。微かに黄みを帯びて透ける様子は美しい。

ふと立ち寄った異国の寺院の回廊で、強い日差しを避けながら中庭を眺めて佇んでいる……そんな風景を思い浮かべて異国情緒あふれるコーディネートにしてみた。

【したたり小袖】

Material	：	レーヨン44％、レクセル36％、ナイロン20％
Size	：	Mサイズ、Lサイズ
Price	：	35,000円＋税

【袴】

Material	：	麻50％、毛50％
Size	：	Mサイズ、2Lサイズ
Price	：	36,000円＋税

したたり小袖に映るグリーンの斑点模様は、下に着せた襦袢のグリーンが透けたもの。よく見ればヒョウ柄の斑点部分が透けた黒い小袖なのだが、下の襦袢を柄物などにすると ガラリと印象を変えてくれる。袴は、渋いシルバーグレーに品の良い光沢が映える。上質なシルクウールがなせる技だ。かなりグレードの高いコーディネートまで可能な、美しい袴だ。

透けることで、より表情豊かな黒い小袖は、レトロな影絵芝居を思い出させた。どんな夜会でも着る人を引き立ててくれるであろうゴージャスで、夜風を感じさせるコーディネートだ。

【したたり小袖】

Material	：	ポリエステル100％（衿部分：綿100％）
Size	：	Mサイズ、Lサイズ
Price	：	37,000円＋税

【袴】

Material	：	毛67％、絹33％
Size	：	2Lサイズ
Price	：	42,000円＋税